Tumneyのブログ

20代後半の国際公務員。2020年1月からバンコクで雇用・労働問題に取り組んでいます。

シベリア問題とは?100年前の日本の政治と労働者

こんにちは、Tumneyです。雇用や労働問題に関心があり、現在はタイにある国連機関でアジア太平洋地域の起業家育成と中小企業支援に携わっています。

 

この記事は、プロレタリア文学「太陽のない街」を読んでみたの続編で、この小説に出てくる「シベリア問題」思想善導について解説します。

 

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シベリア出兵を伝える日本の画報 出典:Wikipedia

シベリア問題

1920年代の日本(大日本帝国)は軍隊とお金が国を動かす、帝国主義、資本主義の国でした。殖産興業・富国強兵を推し進めて西欧に一生懸命追いつこうとした時代です。

 シベリア問題とは、1918年から4年間続いたシベリア出兵を指します。当時ロシア革命社会主義国となったロシアを倒そうと、資本主義諸国(日英米仏伊加中)がシベリアに出兵します。日本国内では、政治的権力を持つ資本家や大地主が出兵に賛成する一方、社会主義を理想とする知識人や労働者、小作農はこれを「シベリア問題」と呼び出兵に反対しました。

 

思想善導

小説の中で、当時の与党であり内閣を組織していた立憲政友会はシベリア出兵の反対世論を鎮めると同時に、その原因である国内の労働運動の取り締まりを強化するため、あるスローガンを打ち出します。それが「思想善導」です。これは文字通り「国民の思想を良い方向へ導こう」という政府の思想教育方針で、社会主義思想を悪として排除しようという意思が込められていました。これにより学校教育が見直されたり、警察隊が強化されたりし、大同印刷会社の争議団も窮地に追いやられていきます。

 

まとめ

100年前の日本は、平成生まれの私には想像もつかない別世界でした。小説「太陽のない街」はこれ以外にも当時の労働運動の実態を作者の経験に基づいてリアルに描いています。もし宜しければプロレタリア文学「太陽のない街」を読んでみたに総論をまとめていますので読んで頂けたら幸いです。