Tumneyのブログ

20代後半の国際公務員。2020年1月からバンコクで雇用・労働問題に取り組んでいます。

5月1日メーデー(May Day, Labour Day)とは?

こんにちは、国連目指す系ブロガーのTumneyです。私は現在、タイにある国連機関でアジア太平洋地域の雇用・労働問題に携わっています。本日、5月1日はメーデー(労働者の日)ということで今回はその意義、歴史、地域による違いについて調べたことをまとめようと思います。

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メーデーとは?

5月1日のメーデー1886年アメリカから世界に広まった「労働者をたたえる日」です。Labor Day、May Day、Workers' Dayなど様々な呼び方がありますが、国際的にはLabour Dayが最も一般的な呼称で、多くの国々がこの日を祝日とし、労働者をたたえるイベントを行っています。日本では1920年5月2日に第一回メーデーが開かれ、1950年代には労働運動が盛り上がりをみせましたが、現在ではあまり特別な日とはされず、労働組合連合や日本共産党が集会を開く程度にとどまっています。なお、今年(2020年)は新型コロナウイルスの影響により労働組合連合は集会は行わず動画配信としています。

 

また、航空機や船舶の救難信号も「メーデー」と呼ばれますが、これは労働者の日とは全くの別物です。こちらはフランス語の「助けに来て」を意味する venez m'aider が語源だそうです。

 

メーデーの歴史

先述の通り、5月1日のメーデー1886年アメリカで始まりました。18世紀から19世紀にかけて産業革命が進むと、資本家が工場をつくり、機械を導入し、労働者を雇用して働かせる形態、いわゆる資本主義経済が生まれました。資本家はとにかく商品をたくさん作って売りたいので、機械や労働者をたくさん稼働させようとしました。これにより労働者は一日10時間から16時間ともいわれる長時間労働が常態化していきました。この長時間労働に反対したアメリカの労働組合連合は1886年5月1日にシカゴで「8時間労働」を求めて大規模なストライキを決行します。これに乗じて世界各国で毎年5月1日にストライキや集会などの労働運動が起こるようになり、メーデーは世界に広まっていきました。

 

日本では1920年5月2日に第一回メーデーが東京・上野で開催され、戦前に合計16回メーデーが行われますが、1936年の二・二六事件による政府の戒厳令により開催が禁止になります。その後、終戦を迎えて1946年から活動が再開するとメーデーは大規模な労働運動の日となり、全国で100万人もの人が参加しました。その後メーデーの活動は過激化し、1952年には血のメーデー事件という騒乱が発生。デモ隊と警察隊が皇居外苑で衝突し、死者1名と負傷者約1000名を出す事件になりました。しかし1960年代からは池田内閣の所得倍増計画や高度経済成長により労働者の生活水準が向上し、メーデーは縮小、現在では5月1日を特別な日と考える日本人は少なくなりました。

 

地域により異なる「労働者の日」

これまで5月1日を国際的に認められた「労働者の日」として紹介しましたが、5月1日以外に「労働者の日」を定めている国もあります。

 

アメリカ・カナダ

この2か国は9月の第一月曜日をLabour Dayとし、祝日としています。アメリ労働省の公表によると1882年にニューヨークのCentral Labor Unionがこの日を休日としたことがきっかけで、カナダでは1894年ビクトリア朝時代の労働者による行進が起源とされています。そもそも5月1日をメーデーとして広めたアメリカが、労働者の日を9月にしているという点には何か政治的な意図があるのではと考えてしまいます。

ちなみに「レイバーデイ」のスペルには若干の違いがあり、アメリカではLabor Day、カナダではLabour Dayと書きます。

日本

日本では5月1日は特別な日ではありませんが、11月23日を勤労感謝の日としています。これは厳密にはメーデーとの関係性は薄いですが意味合いが似ています。勤労感謝の日はもともと新嘗祭(にいなめさい)という秋の収穫を神々に感謝する皇室行事が行われた日で、戦後に天皇の神格化を薄める狙いや、農作物の収穫のみならずより広い生産活動に感謝する意味合いで「勤労感謝の日」と名付けられました。

また、日本は毎年2-3月頃に各企業の労働組合が賃金のベースアップや労働条件の改善を求める春闘が始まり、実質的な労使交渉はこの時期に行われるのが一般的です。

オーストラリア

オーストラリアは3月にLabour Dayがあります。州毎に定められた祝日のためタスマニアではEight Hours Day、北部州ではMay Dayと呼ばれ、日にちも少しずつ違います。元々は5月1日でしたが、第二次大戦後に各州が3月に祝日を移したそうです。

ニュージーランド

ニュージーランドのLabour Dayは10月の第四月曜日と定められています。1840年から毎年10月に植民地の労働者たちが8時間労働を求めて運動を行ったことがきっかけで1890年に政府がこの日をEight-Hour Demonstration Dayと制定しました。現在はこれがLabour Dayに改称されています。