Tumneyのブログ

20代後半の国際公務員。2020年1月からバンコクで雇用・労働問題に取り組んでいます。

コロナと東南アジアの雇用

こんにちは、国連目指す系ブロガーのTumneyです。私は現在、タイにある国連機関でJPOとして東南アジアの雇用・労働の問題に取り組んでいます。

 

いま、新型コロナウイルスの影響で世界各国の各分野で様々な問題が生じています。今回は私が現在かかわっている東南アジア諸国の雇用・労働にコロナがどう影響しているかをお伝えしたいと思います。

 

移民労働者の帰還困難

東南アジアは経済発展した国とそうでない国が隣接しており、労働者の移動がとても盛んな地域です。国境沿いに住居があり毎日国境を越えて仕事に通う人、出稼ぎとして一定期間を隣国の都会で過ごす人など、移民労働の方法はそれぞれです。私が生活するタイはラオスミャンマーカンボジアなどから多くの移民労働者を受け入れており、その数はIOM統計で400-500万人といわれます。彼らの主な仕事は建設業、農業、漁業、ホテル等のサービス業などです。

 

2020年3月23日、タイ政府は隣国と接する国境18拠点を閉鎖。このニュース聞いた移民労働者およそ60,000人がバスターミナルに殺到する事態となりました。同様のニュースが最近インドでもあり、数十万人の移民労働者が失業したうえに帰省困難の状態にあると報じられています。各国政府は移民労働者に対して、帰省を急がず居住地に留まるよう呼び掛けていますが、失業した彼らへの経済的支援が課題となっています。

 

中国工場閉鎖による製造業へのダメージ

東南アジアには中国から輸入した原料を加工する工場が数多く存在します。安い人件費を背景に、企業はたくさんの労働者を雇い、労働集約的な産業が普及しました。衣料品産業はその代表例で、最近はユニクロH&MZARAなど多くの衣料店でバングラデシュ産、カンボジア産、ミャンマー産などの製品を目にするようになりました。

 

こうした衣料品の縫製工場の多くは、原料となる布生地を中国から輸入しています。このため東南アジアでは、中国の工場閉鎖に伴い原料調達が困難になり、人員削減や操業停止に追い込まれる縫製工場が増えています。カンボジアでは6万人以上の工場労働者が解雇されるリスクがあると言われ、バングラデシュでは失業者は100万人にのぼるとも言われています。

 

身近な心配事も。

バンコクで生活する私にとって最も身近で、最もコロナの影響を心配しているのは、屋台のおじさん・おばさんや、路上生活者の方々の暮らしです。タイにはもともと下の写真のように露店がたくさんある他、路上で乞食をする人をよく見かけます。

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最近バンコクやその周辺地域ではショッピングモールやレストランが閉鎖され、外出をする人がとても減っており、こうした屋台や乞食の人たちは収入がほとんどない状態が続いています。日本でも外食産業などへの補助金が必要と言われていますが、経済的な耐久力が乏しいこうした人たちの生活が維持されるよう政府や一般の人々がいち早く行動を起こさなければと思います。

 

私も自分にできることをしようと思い、わずかですが寄付をしたり、なるべく屋台で買い物をしたりしています。困難な時こそ、こうして支援の輪が広がるといいなと心から願います。

 

参考文献

https://sourcingjournal.com/topics/sourcing/coronavirus-cambodia-garment-factories-workers-csr-human-rights-watch-203607/

https://edition.cnn.com/2020/03/30/india/india-migrant-workers-sprayed-intl/index.html

https://laborrights.org/blog/202003/covid-19-impact-migrant-workers-thailand

https://thailand.iom.int/labour-migration

https://www.npr.org/sections/coronavirus-live-updates/2020/04/03/826617334/1-million-bangladeshi-garment-workers-lose-jobs-amid-covid-19-economic-fallout

https://www.bangkokpost.com/thailand/general/1884785/lockdown-leaves-migrant-workers-exposed