Tumneyのブログ

20代後半の国際公務員。2020年1月からバンコクで雇用・労働問題に取り組んでいます。

国連機関への登竜門 - JPO制度について

こんにちは、国連目指す系ブロガーのTumneyです。私は2020年1月から外務省のJunior Professional Officer (JPO)という制度を利用して国連機関で働いています。JPO制度は外務省が2年間人件費を負担して若手日本人を国連機関へ派遣する制度です。日本以外にもベルギー、スウェーデン、ドイツ、カナダなど、国連にたくさんのお金を払っている割に職員が少ない国がJPO制度を設けて自国の若手職員を国連機関に派遣しています。現在、国連機関で働く日本人の約40%がJPOから国連キャリアをスタートしており、「国連への登竜門」とも言われています。

 

今回はこのJPO制度の選考プロセス、私が大切と感じたポイント、またどんな人が合格しているかについてお話したいと思います。

 

1.選考プロセス

まず第一にご説明しておかなければならないのは、私が受けた試験は外務省のJPO試験でかつ、外務省選考枠というカテゴリです。この他に財務省が行う世界銀行JPOや、同じ外務省JPO試験でも国際機関選考枠という試験がありますが、これらは選考プロセスが大きく異なりますのでご注意下さい。

 

これを踏まえ、私の選考プロセス(2019年度)は以下の通りでした。尚、日程等は年度により変わりますので最新情報は外務省国際機関人事センターHPをご確認下さい。

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私が受験した外務省選考枠では、まず外務省が候補者を選定し、その候補者を受入機関に推薦します。そして受入機関がその人を適当と判断すれば採用が決定します。受入機関からすればJPOはタダで働いてくれる職員です。余程のことがない限り外務省の推薦を断る理由はありません。なので二次審査を通過し、外務省から内定を得た時点でほぼ採用と考えていいと思います。

 

ステップ1 一次審査(書類選考)

応募書類に志望機関、志望理由、過去の経歴などを記入し、郵送で外務省に提出します。応募書類はいくつかありますが、私が最も重要と思うのは応募用紙(和文)P-11と呼ばれる書類です。この2つは何度も推敲して、周りの人にも読んでもらうことをお勧めします。過去の募集要項や必要書類は外務省国際機関人事センターHPで見ることができます。

 

ステップ2 二次審査(筆記・面接)

一次審査に合格するとメールで案内が届き、二次審査の受験会場を選択します。私の時は、はじめ東京かジュネーブと言われましたが後日ニューヨークも選択肢に加わりました。私は当時ワシントンDCで修士課程の最中でしたのでニューヨークで受験しました。会場ではまず筆記試験を受けます。これはパソコンで行うライティング試験で国連に関係する問題について45分で記述します。試験問題については、過去問が国際機関人事センターHPに載っています。続いて面接です。面接の詳細はあまり覚えていませんが、30分ほどで難しい質問はなく日本の就職面接のように志望動機について深堀りされるイメージです。事前に志望動機の内容を英語できちんと説明できるよう練習はした方がいいと思います。

 

ステップ3 受入機関面接

これは受入機関によってある場合とない場合があり、面接方法も異なります。私の場合は電話で10分ほど近況を話すだけでした。後から他のJPOの方にも聞きましたが多くの場合はスカイプで行い、機関によってはしっかり質問されることもあるようです。

2.重要ポイント

 JPO試験において私が重要だと感じたポイントは2点あります。

 

①これから国連で働き続けたいという意思

JPO制度の目的は日本人の国連職員を増やすことです。そのため外務省はJPOが終了してもずっと国連に残って働く意思のある人材を求めています。国連内部の正規ポスト獲得競争は本当に熾烈です。そもそもどの機関も予算が減少傾向にあるため若手のポスト(P2, P3)が削られており、1つのポストに世界各国から数千もの応募がきます。それに1つのポジションに留まれるのは5年程度が限界です。つまり、国連で働き続けるということは今後、3~5年おきにこの競争を経験し勝ち続けなければなりません。この競争に挑み続ける覚悟があるか、また勝つために何をすべきか具体的に考えているかが重要です。この点はJPOの応募書類にも明記した方がいいと思います。

 

②経歴と志望先の関連性

 自分の学歴、職歴、ボランティア経験などが今後の志望先とどう結びついているのかを詳しく、分かりやすく説明できるかが一番の合否の分かれ目だと思います。日本企業の採用試験では学歴やボランティア歴がそこまで評価されませんが、国連ではこれも非常に重要な指標ですので思いきってアピールすることをお勧めします。途上国での経験があると有利ですが、マストではありません。

私の場合は学生時代に途上国ボランティアで貧困を目の当たりにした後、日本の商社で3年間アフリカや中南米の大企業のエリートたちと仕事をした結果、途上国における教育や雇用の機会が不平等だと感じ、雇用/労働/人材育成に取り組める国連機関を志望しました。

3.どんな人が合格している?

 JPO制度の競争倍率は例年6.5倍ほどです。外務省国際機関人事センターが公表している応募者数・派遣者数は以下の通りです。

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私が応募した2019年度は52名が合格しています。私がお会いしたことがあるのはこのうち30名ほどですが、多くの方は30代前半という印象です。ただ私のように20代後半で合格した人も数名いました。経歴は様々ですが、私がお会いした方だと、青年海外協力隊、広島平和構築人材育成センター、国際NGO、公的機関、JICA専門家、民間企業(コンサル、商社、広告代理店等)などの出身者がいました。

 

職務年数について、私は応募条件ギリギリの3年で応募しましたが、多くの方は5-6年は職務経験がある印象です。途上国で仕事もしくはボランティアの経験がある方が8-9割くらいですが、中には長年日本で専門性を磨いた方もいます。

 

修士号はイギリスの大学院で取得している方が半数以上という感覚です。イギリスは原則1年で学位をとれるので時間とお金を抑えられるのが利点です。次いで多いのがアメリカですが、日本の大学院という方もいます。

 

以上が私の経験談です。もし他にご質問等あれば個別でメッセージを頂ければお答えできる範囲で回答させていただきます。

 

また詳しい情報は外務省国際機関人事センターHPをご覧ください

https://www.mofa-irc.go.jp/jpo/index.html