Tumneyのブログ

20代後半の国際公務員。2020年1月からバンコクで雇用・労働問題に取り組んでいます。

コロナと東南アジアの雇用

こんにちは、国連目指す系ブロガーのTumneyです。私は現在、タイにある国連機関でJPOとして東南アジアの雇用・労働の問題に取り組んでいます。

 

いま、新型コロナウイルスの影響で世界各国の各分野で様々な問題が生じています。今回は私が現在かかわっている東南アジア諸国の雇用・労働にコロナがどう影響しているかをお伝えしたいと思います。

 

移民労働者の帰還困難

東南アジアは経済発展した国とそうでない国が隣接しており、労働者の移動がとても盛んな地域です。国境沿いに住居があり毎日国境を越えて仕事に通う人、出稼ぎとして一定期間を隣国の都会で過ごす人など、移民労働の方法はそれぞれです。私が生活するタイはラオスミャンマーカンボジアなどから多くの移民労働者を受け入れており、その数はIOM統計で400-500万人といわれます。彼らの主な仕事は建設業、農業、漁業、ホテル等のサービス業などです。

 

2020年3月23日、タイ政府は隣国と接する国境18拠点を閉鎖。このニュース聞いた移民労働者およそ60,000人がバスターミナルに殺到する事態となりました。同様のニュースが最近インドでもあり、数十万人の移民労働者が失業したうえに帰省困難の状態にあると報じられています。各国政府は移民労働者に対して、帰省を急がず居住地に留まるよう呼び掛けていますが、失業した彼らへの経済的支援が課題となっています。

 

中国工場閉鎖による製造業へのダメージ

東南アジアには中国から輸入した原料を加工する工場が数多く存在します。安い人件費を背景に、企業はたくさんの労働者を雇い、労働集約的な産業が普及しました。衣料品産業はその代表例で、最近はユニクロH&MZARAなど多くの衣料店でバングラデシュ産、カンボジア産、ミャンマー産などの製品を目にするようになりました。

 

こうした衣料品の縫製工場の多くは、原料となる布生地を中国から輸入しています。このため東南アジアでは、中国の工場閉鎖に伴い原料調達が困難になり、人員削減や操業停止に追い込まれる縫製工場が増えています。カンボジアでは6万人以上の工場労働者が解雇されるリスクがあると言われ、バングラデシュでは失業者は100万人にのぼるとも言われています。

 

身近な心配事も。

バンコクで生活する私にとって最も身近で、最もコロナの影響を心配しているのは、屋台のおじさん・おばさんや、路上生活者の方々の暮らしです。タイにはもともと下の写真のように露店がたくさんある他、路上で乞食をする人をよく見かけます。

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最近バンコクやその周辺地域ではショッピングモールやレストランが閉鎖され、外出をする人がとても減っており、こうした屋台や乞食の人たちは収入がほとんどない状態が続いています。日本でも外食産業などへの補助金が必要と言われていますが、経済的な耐久力が乏しいこうした人たちの生活が維持されるよう政府や一般の人々がいち早く行動を起こさなければと思います。

 

私も自分にできることをしようと思い、わずかですが寄付をしたり、なるべく屋台で買い物をしたりしています。困難な時こそ、こうして支援の輪が広がるといいなと心から願います。

 

参考文献

https://sourcingjournal.com/topics/sourcing/coronavirus-cambodia-garment-factories-workers-csr-human-rights-watch-203607/

https://edition.cnn.com/2020/03/30/india/india-migrant-workers-sprayed-intl/index.html

https://laborrights.org/blog/202003/covid-19-impact-migrant-workers-thailand

https://thailand.iom.int/labour-migration

https://www.npr.org/sections/coronavirus-live-updates/2020/04/03/826617334/1-million-bangladeshi-garment-workers-lose-jobs-amid-covid-19-economic-fallout

https://www.bangkokpost.com/thailand/general/1884785/lockdown-leaves-migrant-workers-exposed

国連職員が思うグローバル人材とは?

こんにちは、国連目指す系ブロガーのTumenyです。私は現在、ある国連機関のバンコクオフィスでJPOとして働いています。

 

一般的に「グローバル人材」というと、英語がペラペラで世界を飛び回って仕事をこなすような人を指すと思います。私も大学時代、日本企業の就職説明会で何度もそういう説明を受けましたが、国連で働き始めてからこの言葉のイメージが自分の中で少しずつ変わってきたと感じます。今回はそんな私の国連経験や、これまでにお会いした100人以上の国連職員の方々の印象を元に「国連職員が思うグローバル人材」について、次の3点にまとめてみました。これから国連を目指す方のご参考になれば幸いです。

 

1.英語力

2.海外経験

3.国連で働くグローバル人材にとって最も必要な能力

 

 

1.英語力

私が働くバンコクオフィスの公用語は英語です。職員の約15%が英語のネイティブスピーカーで、残りはノンネイティブです。みな英語で仕事をしている以上、ノンネイティブでも相当英語ができるのではと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。スピーキングに関して言えば、出身国由来の発音のクセが強いも多く、慣れるまで聞き取るのが難しいです。日本人の方も、日本人らしい英語の発音をする方が多いです(私も然り)。ただ、英語を母語としない方も、言葉選びは非常に的確で分かり易いです。私自身はまだまだ未熟なのですが、会議などでそうした方の発言を聞いていると本当にすごいなといつも感心しています。

 

またライティング能力はすごく高いと感じます。これについてはネイティブでもノンネイティブでもあまり違いが分かりません。これはおそらくみなさん大学院で英語のレポートなどを相当やっていますし、業務の性質上、様々な内部書類や公式文書を英語で作成することが多いからだと思います。

 

目安として国連職員はTOEFL100点以上の英語レベルがあると思います(私は大学院受験のときでTOEFL101点でした)。ただ、前述の通り、話してみると発音などは「あれ?そのレベルでいいんだ。」と感じると思います。従って、国連で「グローバル人材」として働くためには綺麗な発音や流暢な英語を目指すよりも、下手な英語でもいいから的確な言葉を選んで論理的に伝える力が必要だと思います。国連の採用試験にはTOEFLなどによる足切りはないはずなので、英語に自信がなくても論理的に伝える能力を磨けばチャンスはきっとあります。

 

2.海外経験

国連職員になると海外で働くことになり、さらにそこから別の国へ海外出張に行くことも多くあります(国連では海外出張をミッションと呼びます)。私もまだ赴任して2ヵ月ですが、研修でジュネーブに行きましたし、今後はカンボジア等にミッションに行く可能性があります。こうして海外を飛び回るという意味で国連職員は「グローバル人材」だと思います。

 

これから国連を目指す方は、ぜひ色々な国、特に途上国で経験を積まれることをお勧めします。学業や仕事で時間が取れない方は旅行やボランティアでもいいです。私は会社員時代、4日間の休みを利用してフィリピンに行き、ゴミ山を支援するNGOスタディーツアーに参加しました。こうして世界でおきている社会問題を実際に自分の目で確かめることは、自分のモチベーションや知識の向上に繋がり、とても有効だと思います。

 

3.国連で働くグローバル人材にとって最も必要な能力

ここまで、一般的に「グローバル人材」と聞いて連想される英語力海外経験についてお話しました。英語が話せて海外経験豊富な人は確かにグローバル人材だと思いますが、私が国連で働き始めて感じる事は、これらはグローバル人材の一般的な行動を一部切り取っているものの、本質はそういう事ではないのではないか、という事です。私が国連で働いて思うグローバル人材の本質とは異文化を理解して一緒に働くことができる人です。英語がぺらぺらでなくてもいいですし、海外を飛び回らなくてもいいです。国連職員は様々な国籍、人種、宗教の同僚と仕事をし、国際公務員として世界の人々の役に立つ仕事をしなければなりません。その為に、異なる価値観を理解して一緒に物事を前に進められる人、そういう人こそ国連が求める「グローバル人材」だと思います。

日本の派遣労働体験記

こんにちは、国連目指す系ブロガーのTumneyです。これまでのブログでは私の大学院の経験について書いてきましたが、今回は私の専門分野である雇用・労働の問題についてです。

 

私は現在タイにある国連機関で働いていますが、その直前の2019年10月から約2ヶ月間、派遣社員として大手物流会社の倉庫で働いていました。そこには本当に様々なバックグラウンドを持った方々がいて、外国人の方もたくさんいました。それまで日本は島国で世界の中でも特に多様性が乏しい国だと思っていた私にとってこの経験はとても刺激的でした。今回はその派遣の仕事がどういうものか、またその中で私が何を感じたかを書きたいとおもいます。

 

  1. どんな仕事をしたのか
  2. どんな人たちが働いているのか
  3. 派遣社員はグローバル人材
  4. 派遣さんと社員さんの関係
  5. 派遣社員が感じる社会の冷たい視線

 

派遣労働者というと世の中的には雇用の不安定さや正社員との格差などネガティブな側面が着目されがちですが、私の経験からすると良い側面もいろいろとありました。この記事では日本の労働者派遣制度自体を批判したり肯定したりするつもりはありません。ただ、日本の政治家、専門家、メディアがいう「派遣労働者」とその実態には少しギャップがある気がしたので、その点を私の経験と視点からまとめてみようと思いました。

 

1.どんな仕事をしたのか

私が物流倉庫で担当したのは主に家電製品のメンテナンスや入出庫作業です。作業内容はその日によって変わりますが、例えば中古掃除機の清掃と解体、スポーツ中継に使われる大型カメラの梱包作業、ハンドフォークという運搬機器を使った在庫の移動などを行いました。中でも大変だったのは掃除機の清掃です。エアブラシで掃除機の内部に付着したホコリやゴミを吹き飛ばすのですが、ホコリが大量に舞って服や髪の毛についたり、マスクをしていても鼻や咽喉に入りこみ、長時間やると花粉症のような症状がでます。大型カメラの梱包や在庫の移動は、重たいカメラを持ち上げたり、長時間倉庫の中を歩き回るのでオフィスワークしかして来なかった私には大変でしたが、だんだんと慣れていきました。社員さんの中には長年これをやりすぎて腰を悪くする人もいました。

 

以上が私の主な仕事内容です。

 

2.どんな人たちが働いているのか

前述の通り、私が勤めた物流倉庫では本当に様々な方が働いていました。ミャンマーから来たとても陽気なカチン族の30代男性、おとなしめだけども話すと面白い30代のフィリピン女性、カメラが趣味で調理専門学校出身の20代日本人男性、ダンディな美声で声優を目指す20代の日本人男性、スーパーの特売が好きでいつもおすそわけをくれる40代の日本人女性、高校中退後に大検に合格して大学進学を目指す10代の日本人女性、、、

 

みなさん本当に個性豊かです。私の前職は日本の中堅貿易専門商社で、社員はみな日本人で、みな同じような大学を出て正社員になり、定年までそこで働くのが当たり前という典型的な日本企業でした。そんな経験から「日本の会社は多様性が乏しくてつまらない」と感じていた私にとって、この派遣の経験はとても衝撃的でした。

 

一方で共通点もあります。これは全員そうではないですし、あくまでも私の個人的な印象として感じ取った特徴ですが、多くの方が他人には言いづらい複雑な事情を抱えている雰囲気があります。例えば同じテーブルでお昼を食べていても一人スマホいじりに没頭する人、会話をしても視線を合わせない人、声が極端に小さくてたまに震えている人などもいます。毎日一緒に働いているとある程度は仲良くなれますが、どこか簡単には越えられない心の壁、或いは踏み込んではいけない一線がある気がしたのも事実です。

 

3.派遣社員はグローバル人材

私が就職活動をしていた頃、日本企業の就職説明会に行くと「グローバル人材」という言葉をよく聞きました。特に海外でも活躍している大企業ほど、この言葉を連呼していたので、グローバル人材は大企業も欲しがるすごい人材というイメージがあります。今回の派遣労働を通じて、実は派遣社員さんたちこそ真のグローバル人材だと感じました。

 

先述の通り、私の勤めた物流倉庫にはミャンマーやフィリピンなど海外の方もいました。彼らはカタコトの日本語は話せますが、複雑な指示を理解したり、日本人と普通の雑談をすることはできませんでした。それでもみなさんうまく連携して作業をし、最終的にはきちんと時間通りに作業を完了しています。もちろん指示がうまく伝わらずに外国の方がミスをすることもあります。そんなときはみんなで作業をやり直します。また外国の方で日本語が苦手でも、作業に慣れてくると新人に作業のやり方を教えてくれたりもします。

 

色々な事情を抱えていて人とコミュニケーションをとるのが苦手という方も多いので、全体的にぎこちなさはありますが、それでも年齢、性別、国籍を超えた様々な人が協力して作業している、これが私の受けた印象です。

 

4.派遣さんと社員さんの関係

これは職場により様々だと思いますが、私の物流倉庫の場合、社員さんと派遣さんはとっても仲良しで、仕事終わりにみんなで飲みに行く日もありました。ラインのグループもあり、普段からシフトの相談や飲み会の写真をシェアしたりしています。他の派遣の仕事が長かった方に聞くと、こうした関係はすごく珍しいそうです。

 

私としては派遣社員を雇う企業の間でこうした関係づくりが推奨されるといいと思います。実際、派遣社員は肩身が狭いとよくいわれます。職場によっては正社員と派遣社員が明らかに区別/差別されていて、正社員たちが仲良くランチに出かける中、派遣社員は一人でお弁当という話や、正社員と派遣社員では座る椅子が違っていて疎外感を感じるといった話も聞いたことがあります。同一労働同一賃金という政府の方針により労働者派遣法が改正されたおかげで賃金や有休といった待遇格差は改善されつつありますが、もっと身近なレベルで正社員と派遣社員の仕切りを低くする取り組みは大切と思います。

 

5.派遣社員が感じる社会の冷たい視線

私が派遣社員として働いたのはわずか2か月間でしたが、その間に強く感じたのが派遣社員に対する世間の冷ややかな視線でした。例えば、友人に物流倉庫で派遣の仕事をしていると話すと「きみは正社員を辞めてアメリカの大学院も卒業したのに、なぜそんな仕事をするのか」という返事がきます。また通勤電車ではスーツ姿のサラリーマンに囲まれるなか自分だけジャージを着ていると、自分は社会の歯車から逸脱して変な方向に進んでいるのではないか、このままで大丈夫なのだろうかという気持ちに苛まれます。自意識過剰なのかもしれませんが、私は派遣社員になったとたん、少なからずそうした不安がこみ上げました。

 

この不安の裏には、日本における派遣社員の悪いイメージがあると思います。派遣社員は正社員になれなかった人、何らかの事情できちんと働けない人、まじめに働く意思が弱い人といったネガティブなイメージが社会には根付いていて、そうしたイメージが、派遣社員が感じる冷たい視線に繋がっていると感じました。

 

まとめ

実際に働いた感想として、派遣社員の方々は決して誰かに劣っているわけではなく、むしろグローバルな環境で働いていて、まじめに働く意思もあります。(少なくとも私がいた職場はそうでした。)

 

一方、派遣社員を冷遇する企業や、不健全な働き方と考える人たちがいることも事実で、こうした現状は今後改善してほしいと思います。実際、派遣社員は企業の一時的な人材不足を補う大切な役割を担っており、社会からより尊厳をもってみられるべきと思います。また、ITプログラマーコンサルタントのようにそもそも職を転々としてキャリアを積み上げていくような人たちにとって労働者派遣制度は、次の仕事が始まるまでの所得を補う手段として重宝されており、こうした優秀な人たちも派遣として働いていると聞きます。国連職員も正規ポストを得るまで3-5年おきに就職活動をせねばならず、空白期間が空くこともしばしばなので、私のような若手職員にとっても日本の派遣社員という働き方は合理的で有難い制度です。

 

なので、ぜひ、派遣労働者に対する世間の理解が今後少しづつでも変わっていったらと願っています。

国連職員の2つの働く姿勢 - ドーベルマン型とセントバーナード型

こんにちは、国連目指す系ブロガーのTumneyです。私は現在、ある国連機関のバンコクオフィスで働いています。働いているといっても終身雇用ではなく、2年間の期限付きです。その後は国連での生き残りをかけて競争に挑まなければなりません。

 

今回は職場で私がよく感じる、国連職員の働く姿勢を2パターンに分けてお話します。私は元々日本の大手民間企業で3年働いていましたが、国連の人たちのマインドは日本企業とは大きく違い、とても衝撃を受けました。この記事を読んで、将来国連で働きたいと思っている方が少しでも国連で働くイメージを持っていただけたら幸いです。

 

ドーベルマン型とセントバーナード

タイトルにもある通り、国連職員の働く姿勢には2通りあると思います。これを私は勝手にドーベルマン型とセントバーナード型と名付けました。この2つに完全に分けられるというよりは、多くの人はこの両面を兼ね備えていますが、人により度合いが異なるというイメージです。

 

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ドーベルマン型とは?

番犬や警察犬のようなイメージで、強く逞しく、鋭い洞察力を持ち、人に頼らずとも自分の力で前に進めるのがドーベルマン型の特徴です。ドーベルマン型は国連のような個人の自由度が高い職場で能力を発揮しやすいです。私がいた日本企業では仕事は上司の方針や社内規則に従って行うのが原則で、個人の自由度は少なかったです。おそらく日本の会社はそういうところがとても多いと思います。今の国連の職場では、私のような若手で職位の低い人間でも個人の裁量が重視され、上司は大枠で指示を出してきますが、細かいやり方やそれを今後どういう方向にもっていくかは部下が考えてマネージすることが多いです。ドーベルマン型は持ち前の鋭い洞察力や自立性を活かして積極的に仕事を推し進めます。

 

ただし、ドーベルマン型が強すぎると欠点もあります。例えば、自分の力を過信して人にあまり相談せず、自分のオフィスにこもりがちで、仕事に直接関係ない人とはあまりコミュニケーションをとらない等です。成果は残しますが、周りに冷酷な印象を与えます。

 

セントバーナード型とは?

鋭く尖ったドーベルマンに対し、セントバーナード型は温厚で、おとなしく、それでいてどこか貫禄のあるタイプです。とても社交的で誰とでも分け隔てなく接し、仕事以外のことでも何でも相談できるような人間関係を職場で形成します。国連はコネ社会だとよく言われ、国連でキャリアを積み上げるには幅広い人脈が必要です。また、国連職員はみな多かれ少なかれ誰かの協力のおかげで国連に入ったという意識があり、他の人にも協力しようという気概がある、という人もいます。

 

セントバーナード型の欠点は、優しいのはいいが何をしたいのか分からない、周りのコンセンサスを取りながら仕事を進めるので時間がかかる、仕事への熱意が見えにくい等かと思います。私の偏見かもしれませんが、NGO出身者はセントバーナード型の傾向が強い気がします。

 

まとめ

以上、私が思う国連職員の2つの働き方をご紹介しました。国連で生き抜くためには両方をバランスよく兼ね備え、また相手によって接し方を少しずつ変える器用さが必要と個人的には思っています。ちなみに私の職場はドーベルマン型が強めの人が多く、私はセントバーナード寄りなので、たまに違和感を覚えることはあります。ただ、彼らから学ぶことは本当に多いです。

 

具体例を示すのが難しく、抽象的・感覚的ですがご理解いただけましたでしょうか?皆さんも国連職員の方と話す機会があれば、ドーベルマン型とセントバーナード型を意識してみてはいかがでしょうか

 

国連機関への登竜門 - JPO制度について

こんにちは、国連目指す系ブロガーのTumneyです。私は2020年1月から外務省のJunior Professional Officer (JPO)という制度を利用して国連機関で働いています。JPO制度は外務省が2年間人件費を負担して若手日本人を国連機関へ派遣する制度です。日本以外にもベルギー、スウェーデン、ドイツ、カナダなど、国連にたくさんのお金を払っている割に職員が少ない国がJPO制度を設けて自国の若手職員を国連機関に派遣しています。現在、国連機関で働く日本人の約40%がJPOから国連キャリアをスタートしており、「国連への登竜門」とも言われています。

 

今回はこのJPO制度の選考プロセス、私が大切と感じたポイント、またどんな人が合格しているかについてお話したいと思います。

 

1.選考プロセス

まず第一にご説明しておかなければならないのは、私が受けた試験は外務省のJPO試験でかつ、外務省選考枠というカテゴリです。この他に財務省が行う世界銀行JPOや、同じ外務省JPO試験でも国際機関選考枠という試験がありますが、これらは選考プロセスが大きく異なりますのでご注意下さい。

 

これを踏まえ、私の選考プロセス(2019年度)は以下の通りでした。尚、日程等は年度により変わりますので最新情報は外務省国際機関人事センターHPをご確認下さい。

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私が受験した外務省選考枠では、まず外務省が候補者を選定し、その候補者を受入機関に推薦します。そして受入機関がその人を適当と判断すれば採用が決定します。受入機関からすればJPOはタダで働いてくれる職員です。余程のことがない限り外務省の推薦を断る理由はありません。なので二次審査を通過し、外務省から内定を得た時点でほぼ採用と考えていいと思います。

 

ステップ1 一次審査(書類選考)

応募書類に志望機関、志望理由、過去の経歴などを記入し、郵送で外務省に提出します。応募書類はいくつかありますが、私が最も重要と思うのは応募用紙(和文)P-11と呼ばれる書類です。この2つは何度も推敲して、周りの人にも読んでもらうことをお勧めします。過去の募集要項や必要書類は外務省国際機関人事センターHPで見ることができます。

 

ステップ2 二次審査(筆記・面接)

一次審査に合格するとメールで案内が届き、二次審査の受験会場を選択します。私の時は、はじめ東京かジュネーブと言われましたが後日ニューヨークも選択肢に加わりました。私は当時ワシントンDCで修士課程の最中でしたのでニューヨークで受験しました。会場ではまず筆記試験を受けます。これはパソコンで行うライティング試験で国連に関係する問題について45分で記述します。試験問題については、過去問が国際機関人事センターHPに載っています。続いて面接です。面接の詳細はあまり覚えていませんが、30分ほどで難しい質問はなく日本の就職面接のように志望動機について深堀りされるイメージです。事前に志望動機の内容を英語できちんと説明できるよう練習はした方がいいと思います。

 

ステップ3 受入機関面接

これは受入機関によってある場合とない場合があり、面接方法も異なります。私の場合は電話で10分ほど近況を話すだけでした。後から他のJPOの方にも聞きましたが多くの場合はスカイプで行い、機関によってはしっかり質問されることもあるようです。

2.重要ポイント

 JPO試験において私が重要だと感じたポイントは2点あります。

 

①これから国連で働き続けたいという意思

JPO制度の目的は日本人の国連職員を増やすことです。そのため外務省はJPOが終了してもずっと国連に残って働く意思のある人材を求めています。国連内部の正規ポスト獲得競争は本当に熾烈です。そもそもどの機関も予算が減少傾向にあるため若手のポスト(P2, P3)が削られており、1つのポストに世界各国から数千もの応募がきます。それに1つのポジションに留まれるのは5年程度が限界です。つまり、国連で働き続けるということは今後、3~5年おきにこの競争を経験し勝ち続けなければなりません。この競争に挑み続ける覚悟があるか、また勝つために何をすべきか具体的に考えているかが重要です。この点はJPOの応募書類にも明記した方がいいと思います。

 

②経歴と志望先の関連性

 自分の学歴、職歴、ボランティア経験などが今後の志望先とどう結びついているのかを詳しく、分かりやすく説明できるかが一番の合否の分かれ目だと思います。日本企業の採用試験では学歴やボランティア歴がそこまで評価されませんが、国連ではこれも非常に重要な指標ですので思いきってアピールすることをお勧めします。途上国での経験があると有利ですが、マストではありません。

私の場合は学生時代に途上国ボランティアで貧困を目の当たりにした後、日本の商社で3年間アフリカや中南米の大企業のエリートたちと仕事をした結果、途上国における教育や雇用の機会が不平等だと感じ、雇用/労働/人材育成に取り組める国連機関を志望しました。

3.どんな人が合格している?

 JPO制度の競争倍率は例年6.5倍ほどです。外務省国際機関人事センターが公表している応募者数・派遣者数は以下の通りです。

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私が応募した2019年度は52名が合格しています。私がお会いしたことがあるのはこのうち30名ほどですが、多くの方は30代前半という印象です。ただ私のように20代後半で合格した人も数名いました。経歴は様々ですが、私がお会いした方だと、青年海外協力隊、広島平和構築人材育成センター、国際NGO、公的機関、JICA専門家、民間企業(コンサル、商社、広告代理店等)などの出身者がいました。

 

職務年数について、私は応募条件ギリギリの3年で応募しましたが、多くの方は5-6年は職務経験がある印象です。途上国で仕事もしくはボランティアの経験がある方が8-9割くらいですが、中には長年日本で専門性を磨いた方もいます。

 

修士号はイギリスの大学院で取得している方が半数以上という感覚です。イギリスは原則1年で学位をとれるので時間とお金を抑えられるのが利点です。次いで多いのがアメリカですが、日本の大学院という方もいます。

 

以上が私の経験談です。もし他にご質問等あれば個別でメッセージを頂ければお答えできる範囲で回答させていただきます。

 

また詳しい情報は外務省国際機関人事センターHPをご覧ください

https://www.mofa-irc.go.jp/jpo/index.html

 

 

 

 

途上国開発と労働者

今回は私が専門としている途上国の雇用・労働問題について、思うことを少し書きたいと思います。2019年現在、世界には約77億人が暮らしていて、このうち約50億人が一般的に仕事をする年齢(15-64歳)にあたります。仕事は人間の生活の基盤であり仕事がなければ生活は安定しません。世の中にはいろいろな仕事があります。会社員やアルバイトのように誰かに雇われて賃金を得る労働者、自分のお金で不動産や金融商品を売買する投資家、自分で会社やお店を起業する実業家などです。政治家のような特殊な仕事もありますが、多くの人は労働者、投資家、起業家のいずれかに当てはまると思います。

 

中でも私が途上国開発において重要と考えているのが「労働者」です。人数でみれば労働者は最大グループで、一番就きやすい仕事とも言えます。また、3者の中でもっともリスクが少なく生活が安定しやすいのも労働者です。途上国には働きたくても仕事がない人も多く、私が今まで旅したモンゴル、メキシコ、ケニアではそうした人たち、特に若者が街で暇そうにしているのをよく見かけました。

 

 

他にもいろいろと書きたいことがあるのですが、とりあえずこれだけにします。

読んで頂き、有難う御座います!

米・英・日の大学院(国際開発学系)を比較してみた

こんにちは、国連目指す系ブロガーのTumneyです。

 

国際機関で働くための必須条件の一つは修士号取得だと思います。ただ、大学院は本当に色々あって、どこに行ったらいいのか私はとても迷いました。結果的に、私はアメリカのジョージワシントン大学へ進学しました。その時の経験は別の記事にまとめましたのでこちらをご覧ください。今回は私が大学院進学を考えた時に検討した次の3つの選択肢の特性・イメージについてお話します。

 

  1. アメリカの大学院
  2. イギリスの大学院
  3. 日本の大学院

 

なお、以下の内容はあくまでも私の専門分野である「国際開発学」というくくりで考えた時に私が抱いたイメージと思ってください。経済学、政治学MBA等、各分野によって大学の実績・評価は変わってくると思いますので、その点はご留意下さい。

 

1. アメリカの大学院

アメリカは現代(第二次大戦以降)の国際開発学のメッカ的存在で、国際開発学や関連分野を扱う大学院の数が一番多いと思います。有名校だとジョージタウン大学、ジョーンズホプキンス大学、コロンビア大学ニューヨーク大学コーネル大学ペンシルバニア大学などがあります。手前味噌で大変恐縮ですが、私が在籍したジョージワシントン大学もこの分野では人気があります。

 

アメリカの場合、修士課程は基本2年かかります(一部、1年で取得できるプログラムもあります)。その為、早く修士号を取りたい方、お金を節約したい方には不向きかもしれません。一方で、もともとの知識や経験が浅く、国際開発について一からじっくり学びたい方にはアメリカが合っていると思います。また、世界中から学生が集まるので人脈が広がりやすいと思います。(ただ欧州系や豪州系は少ない気がします)

 

 2. イギリスの大学院

イギリスは植民地時代からの国際開発学を扱う伝統校が揃っているイメージです。私もイギリスにいた訳ではないのであくまで伝聞情報ですが、有名校はロンドン大学イーストアングリア大学、サセックス大学、マンチェスター大学などがあります。

 

イギリスの修士プログラムは原則1年です。手っ取り早く修士号がとれ、アメリカで2年暮らすよりは費用も安く済むと思います。しかしその分、内容が凝縮されていて課題がとても大変と聞いたことがあります。

 

また、これもイギリス留学した知人から聞いた話ですが、国際機関での就職やインターンを希望する場合、ヨーロッパ圏だとフランス語が応募条件になることが多いそうです。アメリカでも「国際機関に入りたければフランス語はできた方がいい」とよく言われますが、できなくても応募できるポストはかなりありました。(志望者も多いですが...)

 

3. 日本の大学院

日本の大学院は、国際的知名度こそ乏しいですが、欧米とは少し違う日本流の開発理念を学べます。かつ、日本の国際公務員採用制度とリンクしたプログラムも多く、JICAの企画調査員や青年海外協力隊、外務省専門調査員、JPO等の採用試験を目指す方には適していると思います。代表的な大学院だと、京都大学広島大学国連大学政策研究大学院大学などがある他、上智大学修士課程ではありませんが国際公務員養成コースというプログラムを設けています。

 

欧米と比べると、日本の大学院は圧倒的に学費が安く、生活費や渡航費も抑えられます。TOEFLやIELTSのスコアもそこまで厳しくありません。知名度が低いのが欠点ですが、実際、国際機関にはあまり知られていない大学院で修士号をとった人も沢山いますし、大学院の知名度よりも、専攻分野とキャリアの結びつきが重視されるので、あまり気にする必要はないと思います。むしろ、自分の学びたい分野が学べるかが大変重要です。

 

また、日本は東南アジアの開発援助で大きく貢献した歴史があるので東南アジア関連の先行研究資料やインターンの機会は日本の大学院の方があると思います。実際、私がタイの国連機関でインターンをした時にも日本の大学院からインターンに来た方が多くいました。また、世界銀行の人から聞いた話だと、東南アジア諸国の外交官に「世界銀行」と言ってもピンとこないが「JICA」は誰でも知っているそうです。なので、この地域でキャリア形成を考えている方は欧米の大学院よりも日本の大学院の方がいいかもしれません。

 

まとめ

以上の特徴を次のようにまとめてみました。

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本当にどれも一長一短で、簡単には選べません。逆に言えば、どれを選んでも大変良い経験が得られると思います。私はアメリカを選びましたが、その理由は、1. 国際開発学という分野が初めてだったので2年かけてじっくり学びたいと思った。2. もともとアメリカの自由な雰囲気とジャンクフードが好きだった。という2つです。 

 

このブログがどこまで参考になるか分かりませんが、この手のブログは沢山あると思いますので、ぜひ色々みて、判断材料にして頂ければ幸いです。

 

読んでいただき有り難うございました!